1)感染様式
RSウイルスは乳幼児に呼吸器感染症を起こし、
その潜伏期はおおむね2~8日です。生後1歳
までに約50%以上が、2歳までにはほぼ100%
の乳幼児が感染します。
患者の咳や鼻水に触れたり吸い込んだりすると
感染が起こります(接触感染と飛沫感染)。
2)診断と症状
RSウイルスの診断には迅速診断法があり、
10~15分で結果が出ます。
このウイルスに感染すると発熱、鼻汁(タラタラ
した大量の鼻汁)、咳 等の症状が始まります。
発熱は2~3日で治まり咳や鼻水も7~10日位かかり、
徐々に治まります。軽症で終わるのが大部分ですが、
こじらせると気管支炎、肺炎、細気管支炎等を併発し
入院が必要な場合があります。
3)RSウイルス感染症の治療
このウイルスに対する抗ウイルス薬はありませ
んので、基本的には感染により大量に出る鼻汁
や気管粘液が気道(喉から肺への空気の通り道)に
貯留しないようにし、免疫力によりウイルスが
駆除されるまで経過を注意深く見る必要があります。
加湿、去痰剤、抗アレルギー剤、鼻汁吸引等が必要
になります。
感染が判明した場合、1歳半位までのお子さんは
数度外来受診して頂いています。鼻汁や分泌物が
気道にたまり、呼吸困難が起きているか否かを確認
するためです。呼吸音に変化が生じ、咳が強くなれば、
ステロイド吸入療法が重症化を防ぐのに有効です。
更に 気道が狭くなると、呼吸音がゼーゼーとなり、
苦しそうに肩で呼吸をするようになりますがこの場合
は入院加療が必要となります。
3歳以上ですと喘息の基礎疾患が無い限り、軽症で終
わる事が多いです。
6ゕ月未満児は重症化しやすいと言われていますが、
体内を流れているお母さんの抗体のためか軽症で終わる
事が意外と多いようです。
4)合併症
主なる合併症は肺炎と中耳炎です。
RSウイルス感染症は鼻汁が非常に多い病気なので、
子供はついつい鼻をすすってしまいます。鼻水の中
には中耳炎の原因細菌がいる場合、中耳炎が起こる事
があります。鼓膜をしっかり観察し必要なら抗生物質
の投与が必要です。
発熱、咳、喘鳴等のストレスが続くと、合併症として
細菌感染が起き肺炎が起きる事があります。聴診をこ
まめに行い必要なら血液検査、胸部X線写真等の検査を
行います。抗生物質を投与し肺炎等の重症化を防ぐ必要
があります。