乳幼児∼小児において表1に示すような激しい
咳が出る病気としては、喘息、喘息性
気管支炎、RSウイルス感染症、クループ
症候群等があります(いろいろな咳のでる
病気については 本HP「子供の咳」
を参照ください)。
今回は代表的疾患である小児喘息について
A)発作時の治療、 及び
B)発作が治まってからの維持療法
について述べてみます。
A)喘息発作時の治療
お子さんが表1に書いてあるような、苦しそ
うな咳を始めたら、先ず医師に診てもら
って下さい。ご両親が子供の咳に慣れ
ないうちはその咳がどの程度深刻なのか
評価ができないの事があるので、夜間で
あっても、医師に診察してもらったほう
が安全だと思います。
ⅰ)苦しそうな咳をするお子さんが受診される
と、 まず血中酸素飽和度(SPO2)を測定
します。
もしSPO2が95%以下の場合は96~98%なる
ように酸素投与を開始します。
ⅱ)気管拡張剤の吸入を施行し呼吸を楽にしま
す。
ⅲ)改善しなければステロイドの点滴静注を
行い1~2時間経過をみます。
ⅳ)上記の治療を行い改善しない場合は軽快
するまで数日を要しますので入院を考慮し
その手配をします。
ⅴ)上記で改善した場合は内服薬(去痰剤、
抗アレルギー剤、時にステロイド薬)及び
②の自宅吸入療法を1週間程度行います。
ステロイドの点滴を行った場合はおおむね
中程度以上の発作ですから1~2日
以内に経過を観察します。
B)発作が治まってからの治療方針
喘息発作を繰り返すと、喘息は治りにくくなり、
大発作を起こしやすくなります。又、発作を
繰り返していると、成人してからも喘息から
離脱できなくなります。
従って、
ⅰ)発作が一度治まってもしばらくは去痰剤、
抗アレルギー剤、或いは自宅吸入療法を
続け、経過を観察しながら徐々に薬の量、
種類を減らし最小必要量で維持します。
ⅱ)1~3ゕ月発作が起こらなければ、
お薬を止めます。但し、発作はいつ
始まるか分からないので予備の薬、
吸入薬等はいつも保持している必要が
あります。
ⅲ)アレルギー検査を行い、環境要因
(ダニ、ホコリ、花粉、動物の毛等の
アレルゲン)が関与している場合は
アレルゲンとの接触が減るように調整
する必要があります。
ⅳ)タバコの煙はお子さんの発作を起こし
やすくなりますので、自宅での喫煙は
控えるようにして下さい。