HOME | 5-11歳児へのコロナワクチン接種について


 
3月より5-11歳小児のコロナワクチンが始まる予定です!
 
オミクロン株による新型コロナウイルスの6波がピーク
に入り、小児患者も急増しています。症例の大多数は
軽症ですが入院、酸素投与を必要とする中等症の患者も
増えています。このような中で、実施が待たれていた
5-11歳小児用のワクチン接種ようやく3月からが始まる
予定です。このワクチンについては心配されている方も
沢山いるようですので、接種の意義について検討してみ
ました。
先ず、日本では小児患者の全体的な状況が発表されてい
ないので、一足先にオミクロンが猛威を振るっている米国
の状況をご紹介いたします(CDC:米国疾病情報センター)。
 
1)米国の5~11歳児感染状況
米国には5~11歳の小児は2800万人いますが、このうち
200万人がこのパンデミック期間中にコロナに感染してい
ます。入院患者は8300人以上に達し、このうち100人近く
が亡くなっております。
新型コロナは同時に、多重系炎症症候群(MIS-C)という
川崎病に似た重篤な合併症を発症する事もあり、2300人
以上がMIS-Cと診断されています。
 
2)5-11歳用ワクチンの有効性
現時点では、お子さんの新型コロナ感染を防ぐのは、ワクチン
しかありません。ファイザー社によるワクチンの臨床試験
結果では発症予防効果は91%、重症予防効果は96%でした。
 
ワクチンを接種すると①本人、②家族(特にまだワクチンを
接種できない年齢の家族)の感染予防となり、又③近隣の
コミュニティへの感染拡大のスピードをスローダウンさせる事
ができます。又、基礎疾患のある子供たち(糖尿病、喘息、
心臓疾患、肥満等々)は重症化しやすい事が知られていますので、
この子達を感染から守るためにワクチン接種が望まれます。
 
3)ワクチンの安全性と副反応 
5~11歳児に対するワクチンはファイザー社製のみが承認
されています。今回のワクチンは今まで12歳以上の年代で
使われたと同じmRNAワクチンですが、接種量を1/3に
減らしています。これは副反応を減少させるためです。
しかし摂取量を1/3に減らしてもウイルスに対する防御力
(=中和抗体量)は減っていない事が証明されています。
 
 
a)重篤でない副反応
ワクチン接種後以下のような副反応が出現しますが、
これは体内免疫力が生ずる過程での反応で心配あり
ません。数日で消失します。
 ①注射部位の痛みと腫れ、②頭痛、③筋肉痛、④発熱等
 
b)重篤な副反応
しかし非常に稀ですが以下のような重い副反応が起こる
事があります。
      
①アナフィラキシー:蕁麻疹、喘鳴、血圧低下、舌、唇
の脹れ等の症状を呈する重いアレルギー反応です。
これはいかなるワクチンの場合でも起こりえる反応で
コロナワクチンの場合100万接種に5例起きるという報告
が出ています。もし起こった場合は医療スタッフが迅速に
適切に治療します。
 
②心筋炎、心膜炎:胸痛、息苦しさ、息切れ、動悸等の
症状を呈する心筋や心臓外膜の炎症でワクチン接種後、
稀に発生します。尚、米国では5~11歳児にたいして
(2021年11月3日∼12月19日の期間)870万件の接種が
行われ、心筋炎は11件発生しましたが全員回復したとの
事です。