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1) B型肝炎ワクチン
 
B型肝炎ウイルスは①母がウイルスのキャリアで
分娩時に赤ちゃんに感染してしまう場合
母子感染)②輸血や性行為で感染する
場合があります(水平感染)。
感染後なりますが、治まった後も、ウイルスの
遺伝子は肝細胞に潜み、肝硬変や肝癌を後年
発症させてくると考えられています。
B型肝炎ワクチンは2016年10月より定期接種
なりましたが、それ以前に生まれたお子さんは
任意接種扱いですが、上記のような理由で接種が
必要と思われます。 
 
2) Hibワクチン
(ヘモフィルス・インフルエンザ菌b型)
 
日本ではこのワクチンが導入される前は、年間
約600人のHib菌による細菌性髄膜炎が発生
していました。
しかし定期接種になってからはHibによる髄膜炎
は激減しています(2013年 厚労省調査で
98%減)。
お母さんから貰った抗体が減少する生後6ゕ月
より細菌性髄膜炎は増えてきますから、それ以前
ワクチンの接種を済ませ免疫力を強化
しましょう。
Hibワクチンは又、喉頭蓋炎の発生を予防
します。
 
3) 肺炎球菌ワクチン
 
このワクチン導入以前では、肺炎球菌による
細菌性髄膜炎は年間200人ほどいました。
ワクチンの定期化以後、肺炎球菌による髄膜炎は
60%位減少しています。肺炎、中耳炎の予防
にも効果があります。 
 
4) ロタウイルスワクチン
 
2020年10月より定期接種になりました。
ロタウイルスによる嘔吐、下痢症を防ぎ
或いは軽症化し、点滴や入院が必要
な重症例を90%減らします。
ワクチンにはロタリックス(2回)と
ロタテック(3回)の2種類ありますが、
接種により腸重積のリスクが少し増加
するので、接種時期を必ず守るように
して下さい。
a)ロタリックス
   初回接種:生後6週~14週6日
 2回目接種:初回後4週以上開け生後24週
  までに 終了
b)ロタテック
 初回接種:生後6週~14週6日
    2,3回目接種は4週以上開け32週までに
    3回目を終了。
 
5) 4種混合ワクチン
 
ジフテリア、破傷風、百日咳、ポリオに対する
ワクチンです。最近あまり聞きなれない病気なの
で少し説明します。
 
➀ジフテリア
 
喉にジフテリア菌が感染し炎症が
起こります。この菌は毒素を大量に出し神経
や心臓の筋肉を傷害し死亡する事もあります。
又、喉の炎症が強くなると気道が閉塞
クループ)起こし死亡する事があります。
 
②破傷風
 
破傷風菌は土壌や汚泥の常在菌で芽胞
として傷口から侵入し、増殖を始め毒素を
産生します。この毒素は神経毒で筋肉を麻痺
させます。口が開かなくなったり、顔がひきつっ
たりします。後弓反張と呼ばれる全身痙攣が
見られます。
 
③百日咳
 
百日咳菌が感染し呼吸器系を攻撃しま
す。乾いた咳が長期間続き特に乳幼児では
重症化します。咳が10秒以上長く続き、苦し
くなって顔が真っ赤になります。
ここでようやく『ヒューと息を吸い込み
ます』。
 
④ポリオ
 
ポリオウイルスの感染による四肢の
運動麻痺や呼吸障害をきたす疾患です。
ウイルスに感染しても症状が出るのは
0.1~1%で大多数の人はかぜのような症状です。
現在日本では野生株による患者は出ておらず、
ワクチン株による患者が散発的に出ていた
ので2012年より不活化ポリオに切り替わっ
ています
 
6) MRワクチン
はしかと風疹を予防する混合ワクチン)
 
①風疹
 
風疹ウイルス感染後10日後、咳、鼻水
等が出始め、発熱3~4日目で発疹が出現
する病気です。問題は妊娠初期にこの病気
にかかった場合、赤ちゃんが難聴、先天性白内障、
心臓病、精神運動発達遅延等の症状を持った、
先天性風疹症候群になる可能性がある事です。
お母さんは風疹ウイルスの抗体チェックをして、
抗体価が低い場合は妊娠前にワクチンを接種
してください。お父さんが抗体を持って
いない場合おなかの中の赤ちゃんはお父さんから
感染する事もあるので、ワクチンを接種して
ください。
 
②麻疹
 
麻疹ウイルスが感染して起きる重症度の高い
感染症です。感染後2週くらいで咳、鼻水、
目ヤニ、などの症状がでてきます。発熱
3-4日後、発疹が出始め、高熱は1週間以上
続きます。抗ウイルス薬が無いので、感染すると
対症療法しかありません。肺炎、気管支炎、脳炎
、中耳炎等の合併症が約30%の人に起こり
その死亡率は先進国でも0.1%位となります。
 
7) おたふくワクチン
 
おたふくかぜはおたふくかぜウイルスの
感染後2-3週間してから耳下腺が腫れる病気
です。罹っても軽症の事が多いのですが、
重い合併症を起す事があるので、まだ
定期接種にはなっていませんがワクチンを接種
(2回)してください。
合併症には無菌性髄膜炎(50人に1人)、
重度の難聴(1000人に1人)、脳炎等があります。
 
8) BCG
 
結核を予防します。
結核の少ない先進国ではBCGワクチンを止めて
いますが日本は未だ中くらいなのでBCGが
必要です。
家族感染が多く、患者の咳で外に出た結核菌を
吸い込む(飛沫感染)ことによって感染
します。微熱やしつこい咳や痰がダラダラ
続いて診断されます。肺結核の事が多いです
が、結核性髄膜炎のように髄膜に感染して
重い脳障害を起こすこともあります。
 
9)水痘ワクチン 
 
水痘帯状疱疹ウイルスによる水痘
を予防します。多くの場合軽症で済みますが、
少なからずの子供が重症となり、死亡する事も
あります。
 
10) インフルエンザワクチン
 
インフルエンザは冬季に大流行
する呼吸器系感染症です。ウイルスは毎年変異を
起こしながら感染を拡げていくので、変異に
応じたワクチン株を毎年接種していく必要が
あります。ワクチンは感染を完全に抑え込む程は
効かない印象ですが、インフルエンザ脳症
等の重症な合併症を軽減させていると思われます。
 
11) 日本脳炎ワクチン
 
日本脳炎ウイルスに感染した豚の血液を
吸血した蚊(コガタアカイエカ)がウイルスを
人に感染させます。コガタアカイエカは
まだ北海道には生息していませんが、温暖化
より北海道にも来る可能性があるので、
2016年より北海道でも定期接種になりまし
た。このウイルスに感染しても脳炎を発症
するのは0.1~1%程度です。発症者の死亡率
は15%です。
 
12) 子宮頸癌ワクチン
 
ヒトパピローマウイルス(HPV)は生殖器や
その周囲にイボや癌を作るウイルスで150種類
以上の型があります。ワクチンはこの
中から子宮頸がんや尖圭コンジローマを予防
するために作られました。
 
現在の所3種類のワクチンが作られています。
 a)サーバリクス HPV 16・18を予防
        頸癌の70%
 b)ガーダシル  HPV 16・18・6・11を予防
          頸癌の70%
c)シルガード9   HPV b) + 5種HPVを予防
         頸癌の90%
 
サーバリクスとガーダシルは2016年に定期接種と
なりましたが、ワクチンを接種した人の中から
「慢性疼痛」、「運動障害」等の訴えがおこり、
厚労省は同年直ちに「接種の積極的勧奨の中止」
にしました。以後HPVワクチンの接種率は事実上
ストップした状態です(接種率0.6%)。
HPVワクチンは全世界120ゕ国で承認・接種され
有効性安全性は広く認めら れています。欧州
各国の接種率は80-90%、アメリカ60%、
韓国70%で各国とも子宮頸がんの発生率が
急減しています。
2022年4月に子宮頸がんワクチン接種の勧奨
が再開されました。