アデノウイルス感染症
アデノウイルス感染は呼吸器、眼、腸管、泌尿器等に様々な症状を起こします。
67種類の仲間を持つウイルスであり、それぞれが異なる症状を起こすものと思われます。
アデノウイルスに対する特効薬(抗ウイルス薬)はありません。
感染により以下のような4種類の症状を起こしますが、1回の感染で起きるのはこの中の1~2種の症状です。
1)結膜熱(プール熱):喉や扁桃の炎症に結膜の充血が認められる場合です。
高熱が4~6日続き喉の痛みはありますが、咳などの症状はさほど多くありません。
血液検査を行うと白血球やCRP値が高値となりますが、抗生物質は不必要で自己の免疫力で自然に治るのが大部分です。
鼻閉が強い場合、鼻をすすったりして中耳炎になることがあるので、この場合は抗生物質が必要です。
2)流行性角結膜炎:結膜充血、眼脂、かゆみ、眩しさ等の症状を示す事があります。
抗生剤の点眼を処方しますが、症状は2週間も継続することがあります。
3)腸管感染症:下痢を起こす小児の10%からアデノウイルスが検出されます。高熱が出ることも少なく大多数は軽症で自然に治ります。便には大量のウイルスが含まれているので、おむつ交換後は手指の消毒が必要です。
4)出血性膀胱炎:突然の肉眼的血尿、膀胱刺激症状で発症します。尿中細菌が
陰性だと出血性膀胱炎だと推察されます。この症状はアデノウイルス感染症としては稀です。