人間の体温は37℃前後に保たれています。
体が正常に機能するにはこの体温を保つ
必要があります。つまり産熱(=食事や
運動などで作られる熱)と放熱(=体から
熱を逃がす作用)のバランスが取れている
必要があります。
高温多湿の環境で激しい運動等をして体温が
上がっているにも関わらず、放熱が巧く
行かない時このバランスが崩れて熱中症
が起きてしまいます。
熱中症の種類;熱中症には3パターンがあります。
1)熱痙攣 :運動や作業で汗を大量にかいた
ので、水分を補充したが塩分を補充しなかった
場合、 低ナトリウム血症を起こして生じます。
症状:ふくらはぎ、足、太もも、腕の痙攣。
発熱はありません。
治療:涼しい環境で休む。塩分を含んだ飲み物
を摂取するだけで治ります。重症の場合は静脈
から水分と塩分を補給します。
2)熱疲労:熱痙攣より重症でより大量
の水分と塩分が失われた場合に起こります。
この状態が続くとより重症な熱射病に移行
する可能性があるので注意が必要です。
症状:めまい、ふらつき、筋力低下、疲労、頭痛、
カスミ目、吐気、嘔吐,体温は通常平熱はだが
、発熱があっても40℃は超えない
治療:涼しい場所での休息、水分と塩分の補給、
静脈からの水分、塩分補給.扇風機をあてたり、
皮膚をぬらして放熱をはかります。
3) 熱射病:高温によって引き起こされる
病気の中で、最も重い病態です。迅速に治療しなけ
れば約80%の人が死亡します。
極度の高温多湿状態で体を動かしている人、
閉め切った暑い場所で過ごしている人、
小児の場合暑い車内に残したままにすると
熱射病になりやすいので短時間でも注意して
ください。
熱疲労との違いは以下の2点です。
体温が通常40℃を超える。
脳機能障害の症状が現れる。
症状;熱疲労の症状(上記)に加えて、錯乱、
見当識障害。痙攣、昏睡状態、心拍数増加、
脈拍上昇、血圧上昇或いは低下。
診断はこのような症状があり、かつ高温多湿の
環境にいたという事実で下されます。
治療;直ちに体を冷やし救急車を呼び集中治療室
のある病院に転送します。
衣服を脱がせ、体を水に浸す。扇風機で風を
あてる。静脈より冷たい輸液を行う。
冷やし過ぎを避けるため、体温が39℃まで下
がったら冷却を止める。