1)脱水症とは
体内から水分と電解質 (ナトリウム
やカリウム)が失われた状態で
下記のような病気や状態で発生します。
- ロタウイルス、ノロウイルス等によるウイルス性胃腸炎で嘔吐、下痢が続く場合
- インフルエンザ、熱中症、高熱持続等により
- 発汗や食欲不振が続く場合
- 肺炎、喘息、気管支炎で呼吸が苦しい時。
2)症状
顔色が悪い、手足が冷たい、
元気が無い、ぐったりしている、
口唇が乾く、尿量がへる、
皮膚の張りが無くなる
3)治療
ⅰ)軽症∼中等症の脱水
口から少量ずつ頻回に飲ませます
(経口補液法)
嘔吐回数が減少し間隔が30分以上になれば
経口補液を開始します(発症3~4時間以内)。
補水液の量は3~4時間かけてゆっくり小刻み
に与えて下さい(体重10kgの子なら
ペットボトル1~1.5本を3~4時間かけて
飲ませるくらいの量)。
経口補水を始める前に制吐剤
(ナウゼリン座薬)を使用しても
良いでしょう。
始める際子供にボトル毎与えると
がぶ飲みするので、保護者が少量から
小刻みに与えてください。
下痢、嘔吐が続いている場合は1回の下痢、
嘔吐につき100~150ml位の補水液を補充
しましょう。
下痢の回数についてですが、大きな下痢
の後の数滴しか出ない場合は大きな
下痢の方だけ勘定してください。
与えすぎると消化管で吸収できず、
下痢になり悪循環になります。
補水液で少し元気になったら、おかゆ、
うどん、ミルクを与え大丈夫なら
脂肪の取りすぎ等に注意しながら
通常食事に戻します。
ⅱ)推奨される経口補液
OS-1, アクアライト、明治アクアサポート、
ソリタT2顆粒、ソリタT3顆粒
脱水症は塩分と糖分が失われた状態です。
水、お茶には糖分、塩分が入っていないので
好ましくありません。またスポーツドリンク
は味が良いがよいが、糖分と塩分の
バランスがわるいので推奨できません。
補水液のベストはT2顆粒ですが塩分
(ナトリウム)が喪失量を補うために多めに
入っているので味にはやや問題あります。
リンゴジュースを25%程度加えると飲み
やすくなりほとんどの乳幼児が飲める
ようになります。
どうしても経口補水が飲めない場合、
リンゴジュース(30%程度)とさらっとした
スープでも大丈夫です。
ミルクは希釈する必要がありません。
ⅲ)中等症∼重症の脱水症
経静脈輸液法 ソリタT1輸液を
(10~15ml/1kg 体重/1時間)点滴します。
重症であれば入院して数日間点滴必要な事が
ありますが、当院では1~数時間点滴し、
排尿が認められ、機嫌がよくなり、
経口補水を飲めるようになれば外来で
観察可能と考えています。
制吐剤(ナウゼリン)の使用
ウイルス性胃腸炎(特にノロウイルス、
ロタウイルス)の場合頻回の嘔吐がおこります。
嘔吐があると、経口補液法ができないので、
経口補液を前提にナウゼリンを使用します。
副作用も稀にある薬なので必要最小限に使用します。