アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は幾つかの原因が重なって起きる慢性的な皮膚の炎症です。体質+環境+免疫の反応が組み合わさって発症、悪化します。
主要な原因
- バリア機能が弱い:本来皮膚は外からの刺激を防ぎ、水分を逃さないというバリア機能を持っています。アトピーの人はこのバリア機能が弱く皮膚が乾燥しやすく、ほこりや細菌が入りやすいのです。このような刺激が入り炎症が起きやすくなります。
- 体質:家族にアトピー、喘息、アレルギー性鼻炎の人がいてアレルギー反応を起こし やすい体質があります。
- 本来は無害なもの(ダニ、食物)にたいしても過剰な反応をする。
- 生活環境・ストレス
乾燥、汗、摩擦、ダニ、ハウスダスト、ストレス、睡眠不足
皮膚バリア破綻の分子機構
アトピーの場合 フィラグリンという皮膚の角質を丈夫にして水分を保持する蛋白質が少ないので、角質層がスカスカなります。すると水分が逃げ、アレルゲンや細菌が侵入しやすくなります。
皮膚に刺激が入ると、角化細胞がサイトカインを出します( TSLP,IL25,IL33)
これらはアレルギー型の免疫反応を誘導し TH2細胞が優位になります。
TH2細胞は以下のサイトカインを放出します。
IL-4/IL13 :IgE を増やす、フィラグリンを抑制する
IL-5:好酸球を増やす
IL-31 : 皮膚を刺激して痒みを増やす
このようにして、 炎症+痒み+バリア破壊の悪循環が始まります。
慢性化すると、急性期( TH2優位)から TH1/T17/TH22も関与し表皮が厚くなり、炎症が固定化されます。
アトピー性皮膚炎の治療薬
ステロイド:ステロイドは細胞膜を通過して細胞内にある受容体と結合して、核内に移行してアトピー性皮膚炎を起こしているサイトカイン遺伝子の転写を抑えます。つまり、 IL-4,IL-13、 IL-5,IL⁻31、 TNF-α等が作られなくなります。
→アトピーが成立するのに必要なTH2炎症が沈静化します。 IL-31も間接的に減少するので、痒みを抑える事にもなります。これで痒み→搔く→悪化のループを切る事ができます。
ステロイドの弱点: フィラグリン遺伝子自体は変わらないので、皮膚バリアの脆弱性は変わらない→塗るのを辞めると再燃しやすい。保湿・スキンケアは必須であるということです。
ステロイドの副作用について
ステロイドは真皮で皮膚の土台を作っている繊維芽細胞の増殖を抑えます。また表皮(角化細胞)の増殖を抑制するので長期使用で、表皮が弱くなり、外力にも弱くなります。
見た目で「テカテカ」「紙のような皮膚」になる事があります。
アトピー性皮膚炎治療まとめ
- 必要、最小限の強さ・量・期間ステロイドでまず治療し
- 炎症が治まったら間欠治療
- 保湿をしっかり行いバリアの修復を行う
- 長期部位はプロトピック(タクロリスムス)或いはコレクチム(JAK阻害薬)、モイゼルト(ジファミラスト)に切り替える。
デュピクセント(デピュルマブ)について
最近 注射薬ですが、デュピクセントという薬が使用可能になっています。
デュピクセントは IL-4と IL-13の受容体をブロックしてアレルギーを起こす TH2炎症を根本的に止める事ができます。すると
TH2細胞の活性化↓、好酸球の動員↓、 IgE産生↓、とアトピー性炎症の中枢が抑えられます。
デュピクセントでIL-4が抑えられるので、フィラグリン↑となり角質構造が改善されます。つまり、炎症が止まり、バリアが立て直されるのです。
但し遺伝的体質は治らないので、中止すると再燃する人もいます。
ステロイド外用剤の使用法
ステロイド部位別安全な使用法
顔・首・陰部:皮膚が薄いので、Ⅳ ~Ⅴを短期間使用
長期間ならプロトピック或いはコレクチムを使用する事
体幹・四肢:Ⅲを使用し素早く抑える
手掌・足底:皮膚が厚くて吸収されにくいので、Ⅰ ~Ⅱを使用
年齢別: 乳幼児に対しては吸収率が高いので、Ⅳ~Ⅴが基本。必要なら短期間はⅢを使用して素早く抑える
外用薬の比較と注意
部位にあった強さのステロイドを短期間集中して使用し、良くなったら間欠的に使用しましょう。
保湿は必ず行いましょう。顔、首は非ステロイド(コレクチム、プロトピック)に早めに切り替えましょう。